『あらびき団』に出演した堂本剛、その"計算"を崩したパフォーマー
1月から4週にわたって『あらびき団』(TBS系)に出演した、KinKi Kidsの堂本剛。実は剛がファンだという、椿鬼奴やくまだまさしが所属するパフォーマンスユニット、キュートンへの楽曲提供を依頼されたことからそれは始まった。
番組ではその楽曲の制作過程を追いかけると同時に、番組そのもののゲストとして、"あらびきパフォーマー"のパフォーマンスも見てもらっていた。
かねてからお笑いに精通し、音楽活動も"ENDLICHERI☆ENDLICHERI"や"244ENDLI-x"名義の変名ソロプロジェクトなどでの評価も高いキンキの剛なだけに、あらびきパフォーマーへのコメントも、どこかクロウト感が滲み出ている。
たとえば、キュートンのどこが好きかと尋ねられれば、
「なんでしょうかねぇ......1度きりの人生の中で、あれ(ポージング)をやってるってことですね」
「生きていく時間の中に、何回かあれをやっているっていうね」
なんというか、ジャニーズタレントとして求められている以上のコメントを落としてくれるというのか、フツーのこと言っちゃダメだと思う病(そんな病ないが)なんじゃないかと思っちゃうぐらいに、あれこれ盛り込んだサービスをしてくれる。
「7割ハゲですね」
「オレ、いつ生き別れましたっけ?」
「2回目にして、"拒絶"という」
「黄色い服着たオバハン」
お笑い偏差値の高いキンツヨさん(そんな略称もない)ならではのコメントを連発、さらに音楽ネタに関しては、ミュージシャンとしての視点も交えたコメントをしてくれる。苦労の末に完成した、自作の楽曲へのポージングを披露したキュートンには、
「よくもここまで音をうまく無視できるんだな......」
と言い、R-1準優勝という好成績をあげたAMEMIYAに対しては、
「歌としてリピートするポイントもいいですし」
と楽曲としてのデキをほめつつ、
「歌詞さえちゃんとしてれば......」
と、ネタのキモの部分を落とすという間違いのなさ。さらに剛のライブで歌うのもいいのでは? と水を向けられればすかさず、
「その日は、来ないです」
アーティストとしての線をきっちり引くことで、笑いに持っていくという高度な技を見せてくれる。
そんなお笑いと音楽の高偏差値を誇る男・堂本剛として計算したコメントとはちょっと違い、割合素に近そうな反応に見えたのが、2月15日に放送された、"呪いのメロディ"と番組内などで呼ばれる女芸人・みちゃこの歌ネタを見た直後の感想だった。出来るかぎりブサイクに見えるような悪意あふれる角度やドアップの連続に、
「この子、このオンエア見て次の日生きてるんですか?」
「俺こんなイジメされたら嫌ですもん」
これまでの「何か面白コメントを」と、どこか構えたような雰囲気とは違って、普通に笑ってしまっていたように見えた。ナイーブさんの琴線が、どこか刺激されるところがあったのかもしれない。「俺」という言葉が出て来たこともリアル。
いつかパフォーマーとして『あらびき団』に出演することもある気もしないではないが、番組特有の「悪意ある」映し方はやめてあげてください。そんな笑われ方は望んでいないかと思いますので。